金剛山の初心者向けの登山道「伏見峠ルート」は、とても歩きやすいのですが、ふと一番上にある伏見峠の「伏見」の由来について気になりました。京都に有名な伏見がありますがその関係なのかも含めて調べると意外な事実がわかりました。

金剛山の登山道は、初心者向けから上級者まで本当に多くのコースがあると聞きます。私はどちらかといえば初心者向きのコース専門ですが、その中でも回数登山の人が利用する千早本道ではなく伏見峠ルートを使います。

さて、伏見峠ですが、なぜこのような名前がついたのかがとても気になりました。伏見と聞くと普通は京都の伏見を思い出します。金剛山の近くに「伏見」というキーワードがついた峠があるのにはどんな意味があるのかと思ったのです。


伏見という名前には、伏水(伏流水)との関係が指摘されています。京都の伏見は質の高い伏流水が豊富で、酒どころでもあります。そして金剛山麓でも金剛山の伏流水があり、河内長野の行者湧水が有名ですし、金剛登山口の「山の豆腐」も金剛山の伏流水を使っておいしい豆腐を作っています。

また伏見峠に向かう道の横にもせせらぎの水が流れているので、なにか関係がありそうかなと感じました。

ところが、いろいろ調べていくと、伏見峠の「伏見」は大阪側とは関係がないことがわかりました。

実は県を挟んだ奈良側に関係があるというのです。

伏見峠を越えると奈良側(御所市)になるのですが、ちょうど伏見峠から奈良県側の地名を見ると御所市伏見であることがわかりました。つまり奈良側の地名から峠の名前がついていて、れが伏見峠だったわけです。

ここで「伏見」の意味について調べると日本地名基礎辞典や地名用語語源辞典では次のように記されています。

- フシ(伏)・ミ(水)で、「水が伏して流れる所。地下水多量な地」
- 見下ろすことのできる傾斜地上の地名〔鏡味〕。
- フシ(節)・ミ(廻。接尾語)で、「盛り上がったり、瘤のようになったところ」
- 京都市伏見からの伝播地名。
伏見という名前の地名は、京都以外にも名古屋や奈良市などにもあります。奈良県御所市の伏見の由来について調べてみましたが、残念なことに明確な根拠は見つかりませんでした。以下は仮定になりますが、金剛山の上から山麓に2番目の見下ろすことのできる傾斜地上の地名が近いようにも感じますね。

そして、奈良側も大阪側のように伏流水が豊かな印象があります。山から奈良盆地にかけては葛城川などいくつも水の流れがあり、それらが合流して最終的に大和川になります。

また南河内地域同様にため池が多く、今でも農作物に利用されています。特に伏見池はこれからの季節に咲く「彼岸花」が池の周囲に咲き、周辺との棚田との風景がとても美しいとフォトジェニックなスポットとして人気があるそうです。

このほかに歴史ののある伏見八幡神社や神社境内にある古墳、棚田が広がる秋津穂の郷 (外部リンク)、さらに御所の酒蔵油長酒造さんの葛城山麓醸造所などがあります。伏見ではありませんが近くには高天彦神社という興味深い名前の神社やかもきみの湯という温泉施設もあります。


「興味のある方は画像のところから奈良側に下ってみてください」と言いたいところですが、大阪側からの伏見峠ルートと違って初心者向きには見えないルートです。見た限りそれなりに経験がある人向けのように感じました。

また奈良側に降りる際にも、伏見峠からはいくつかの登山道があるようです。

風の森バス停やJR北宇智駅方面に抜けられるようです。
なお、大阪側から上って伏見峠に到着すると画像の場所に到着します。ダイヤモンドトレールと三差路のようになっていて、奈良側には抜けられないようになっています。

そして少しだけ金剛山方向に歩いたところに奈良側への下り道があります。

ということで、金剛山の登山で最も初心者向けの伏見峠ルートの頂上にある伏見峠について名前の由来を調べてみました。伏見峠の伏見は奈良県碁聖にある地名であるということと。伏流水が湧き出ている場所につけられている可能性があり、日本酒の醸造所彼岸花で有名なため池などがあることがわかりました。記事が参考になれば幸いです。

スポット情報:伏見峠
住所:大阪府南河内郡千早赤阪村千早
アクセス:金剛山ロープウェイバス停から徒歩70~100分程度
